スキトオリメを終えて

とんでもない作品と出会いました。
終わってみてもまだその正体をハッキリと捉えられていない。

間宮芳生 「ニホンザル・スキトオリメ」

53年前に初演して以来の作品。

「くすの木」という、どう考えてもカキワリか、ただ立っているだけの役名なのに、
最初から最後まで歌いっぱなし。

ま、そんなことは僕の問題だからいいんです。

作品の中身端折りますが、最後のシーン。
「男」が燃えた大木に刻まれた絵の存在に気がつき、
それを手で触っているうちに、その全貌が見えてくる。

「くすの木」の最後の台詞
「それだ、それがスキトオリメの絵なんだ。
土の中深く生きてきたわしらの根っこからまた芽を吹き出し、
犬たちには何度見ても何のことかわからんかった信号や暗号が、
お前さんの胸の中でいま、踊り出しているんだ
=中略=
スキトオリメの絵の動きを、いつまでもたどっていくがいい」

くすの木が栄華を誇っていた、猿の森の栄枯盛衰を聞いた「男」が、
そこで初めてスキトオリメという芸術家に気がつく。

これを今日の本番で歌い終わって、
初めて、「そうか、僕ら芸術家の生き様がまさにここにあるんだ」と感じました。

世界中に散らばる芸術作品の中に散りばめられた暗号や信号を、
どうやって受信し、どうやって読み解くか。
今でも埋もれてる作品は見えない土の中でも生き続けていて、
何人もの人間がそこを通り過ぎても見出されることもなく、
「男」が現れることを待っているんですね。

それは作品の中でも一緒で、
誰も目を向けなかった一つの音、一つの言葉が
一瞬にして芽を吹き出し踊り出していく。

芸術を目指す者にとって、

この言葉はまさに「芸術」というものの意味な気がします。

歌を目指して20年。人生の折り返しで、
とんでもない作品と出会えたこと。

50年根っこの中に埋もれていたこの曲に
もう一度芽吹くチャンスと出会わせてくれたオーケストラ・ニッポニカの団員さん。
そしてこのくすの木を歌えるようにしてくれたコレペティの矢田さんと野平マエストロ。
一緒に部隊を作ったキャストと合唱の皆さん。
カッコいい証明と際立った衣装とメイクをしてくださったスタッフさんたち、裏方さん。
そしてこの作品を生み出してくれた間宮芳生先生と台本作家の木島始さん。

すごい人たちに囲まれて大成功に導かれました。

「くすの木」をやりながら僕は「男」の気分でした。

ご来場の皆様大変な作品で聞く方も疲れたかと思いますが、
今日聞かれた方はそういうとんでもない瞬間に居合わせたのだと思います。
皆さんもまた、これから「スキトオリメの絵」をさがして、
いろんな舞台を楽しんでいただければと思います。

ありがとうございました。

THE JADE 2019ニューイヤーコンサートな夜

改めましてあけましておめでとうございます。

本日はTHE JADE ニューイヤーコンサートにお越しいただきありがとうございました。

2019年は平成から新しい元号に変わる革新的な年です。

ぼくもそれにあやかって精進していきたいと思います!

本日のコンサートですこぶる評判の良かったある曲。

けっしてラ・ボエームではありません。